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電柱の足元に咲く小さな花の歴史を君はまだ知らない

私も知らない。 日々思うことや思い付き短編小説風コラム風な記事を不定期で投稿します。 基本的にすごくしょうもない内容です。 知的要素ゼロがお好きな方向けです。

自転車旅記録~魔のトライアングルコース編~

それは今から七年前の四月終わり頃のことだった。

 

私はその年に初めてクロスバイクを購入し、浮かれきっていた。

紫色のジャイアントで、名を「ユリコフ」と言う。

※ユリコフについては、またその内書こう。

 

暇を見つけてはふらりと一人で出かけたり、時には友人と旅に出たり、若かったこともあって当時は頻繁にユリコフと行動を共にした。

そんな中、今でも忘れられない恐怖の日帰り旅を経験したのだ。

翌日の筋肉痛は過去最大級のもので、会社に行くのもままならない状態だった。

何故そんな状況に陥ったのか?

 

当時、他のブログに記録していたものがあるので、それを見ながら状況を追っていこう。

 

それは旅の前日に遡る。 

当時の仕事柄、なかなか二連休を取りにくい日々が続いたが、ようやく二連休が訪れ、私は浮かれきっていた。

それにも関わらず、初日にアラームというゴールテープをぶっちぎって果てしない睡眠欲を果たした私は、すっきり目覚めたものの「とんでもないことをした」と後悔の十字架を背負うこととなった。

そこでその後悔を払拭しようと、翌日の日曜日は張り切って起きたのだった。

 

しかし何だかんだダラダラとしてしまい、やっとのことで家を出たのがまさかの12時。

それでも私は当初の目標を変えることはなかった。

目標を変えてしまっては前日の自分への慰めが出来なくなってしまうからだ。

そう、今回の一人旅計画は【大阪出発→奈良公園伏見稲荷大社】 という壮大なスケールのものだったのだ。

 

元々は奈良のみ行く予定だったが、「そんなの普通すぎる」という悪い自分の囁きにより、京都を追加したのだ。(しかしこの選択が後に救いとなる。)

魔のトライアングルコースの完成だ。

 

まず、あまりの長距離なもので馴染みのチャリ屋にピットイン。

実はこの旅の前に神戸に行った際、どうもギアの動きが良くなくて軽いギアにするとチェーンが浮くようになった。

診断によるとどうも調整が必要らしく、少し時間がかかるとのこと。

これはマズい!!!
…という顔をしていると、気を遣ってくれた店員が手の空いている店員を呼んでくれて早急に対応してくれた。

 

以前より世話になっている馴染みの店員が当たり、声を掛けてくれた。

「今日はどちらに行かれるんですか?」

「ちょっと奈良まで。」

「…?え?今からですか?」

この時既に昼の十二時半。当然の反応だ。

「気を付けていってらっしゃい!」

と、爽やかな笑顔で見送ってくれた。 決して止めようとしないその姿に私は少し安心した。

「あ、まぁ行けるんだ」と。

 

しばらく1号線やら8号線やらをまっすぐ走っていると、20分くらいで気がつけば大東市だった。

さらにしばらく進むと、山らしきものが近付いてきた。

これは…まさか…

 

そう。
私はいわゆる地図の読めない女だ。
当時はまだスマホのマップではなく、わざわざPCから地図検索をして道を下調べしていた。

f:id:pepico-pepper:20170218235428j:plain魔のトライアングルコースの図

 

MapFanというサイトであれば、徒歩のルートも検索出来たので愛用していた。
とても見やすい地図だったが、地図上で高度というものを把握しないままルートを決めてしまったが故、全て平坦な道としか認識していなかったという奇跡物語を創り上げていた。

しかも、かの有名な「生駒山」ではなかろうか。

 

その昔、私がまだ小学生だった頃、 我が家の先祖が眠る墓が何故か奈良にあり、事あるごとに親父の運転で家族3人で行ったものだった。

アップダウンの激しい坂道で私はジェットコースター気分を味わい、当時としてはそれなりに楽しい思い出がある。

そのジェットコースターが

こ の 先 に
あ る と い う の か

確信と疑惑が私の中で蠢く間も、山は刻一刻と迫りつつある。

f:id:pepico-pepper:20170218234726j:plain

茂みの中にひっそりと佇むラブホテル。

これは山に間違いない。疑惑は確信へと変貌した。

山道にさしかかる。敵は阪奈道路

 

山を走行する上で、休憩は危険な行為である。

足を止めると、先に進まなくなることがあるからだ。

「もういやだ!これ以上漕げない!おうちに帰りたい!」

そう思った瞬間にジ・エンドである。

そして何より、休憩が出来ない理由がもう一つ。

当時は社会人にも関わらず貧乏まっしぐらだったこともあり、金がなかった。

金がないにもほどがあるが、この日はたった200円しか所持していなかったのである。

途中、自販機で100円のペットボトルを購入したので、残り100円。

危険極まりない行動なので、これから自転車で山登りをする人は絶対に真似をしないでいただきたい。

 

こんな状況にも関わらず、あまりにも敵が大きすぎたため、私は合計二回の休憩を取ることになった。

途中で引き返さなかった根性に称賛を送りたい。 

 

生駒山上遊園地の看板が見えてからは快適な下り坂。

今までの苦労なんて何だったっけ?
とあっさり言えるほどの快適空間。

汗だくで登っていたのに、スピードが早すぎて寒いと思ってしまうほど。

鼻歌交じりで下っていた私は、この時のお気楽加減を一瞬で吹き飛ばす事態が訪れることを知る由もなかった。

 

「知る由」って言葉は有名な孔子の「子曰く」が発祥らしいね。今関係ないけど。

 

途中で「ならまち」と「奈良公園」に分かれる分岐点にさしかかった。

もちろん私は「奈良公園」を目指すワケだから、無理やり「奈良公園」側に移動した。

ところが、その先に待ち構えていたものとは。

橋。

そう。奈良公園行きの道は、高速道路のようなあの「橋」形態だった。

一度入り込めば否が応でも抜け出せない、チャリにとっては地獄への登竜門、「橋」。

中央が安全地帯的なアレで、周りにはポールが立てられていたので、慌ててそこに逃げ込んだ。

幸いにして「奈良公園」行きの地獄橋の道は渋滞していたため、割とすんなり移動できた。

バイクが怪訝な顔付きでこちらを伺っていた。完全に迷惑だっただろう。ごめん。

 

問題は軌道修正のために「ならまち」行きの道にどうやって合流するかだったが、それとなく無事クリア。

「やっと落ち着けるぞ。」

そんな己の考えは一瞬にして無駄であることを知らされる。

めくりめく急こう配ワールド。

永遠に続くアップダウン。

まるでそこは、ミスユニバースの姉ちゃんがゴールテープを持って待ってくれていて、満面の笑顔でテープを切った瞬間、正面に待ち構えている鬼の形相の鬼に喰われ、各消化器官でズタボロにされた後に鬼のケツから排出されたらまたミスユニバースが…が繰り返されるような場所だった。

延々と続く下りと上りをひたすら無心でクリアし続けると、ようやく町らしい風景に切り替わった。

私は勝ったのだ。山に。生駒山に勝ったのだ。

 

奈良の街並みは自然の風景が数多く見られ、先ほどまでの辛さは一瞬で癒された。

これだから旅はいい。

少し迷いながらもついに奈良公園に到着。

時間は15時。タイムにして約2時間半。走行距離は36.4km。
山超えと迷子がやはりネックとなった。

 

トイレ休憩と一服休憩を兼ねて、少々鹿と戯れ、30分もしない内に出発。

次なる目的地「伏見稲荷大社」を目指して。

さっそく迷子。

でも迷子になったおかげで、謎の牧場を発見。

f:id:pepico-pepper:20170219000539j:plain

そこには「牧場のソフトクリーム」の看板。

疲労した体に「牧場のソフトクリーム」という文字は「猫にマタタビ」と等しい。

しかし、この時既に所持金100円。

血眼でコンビニ探した。

入った。

1000円下ろした。

食べた。

f:id:pepico-pepper:20170219000526j:plain

最強に美味しかった。その場で転げ回りたかった。

でももうゆっくりしてなんかいられない。

なぜなら、この時点ですでに16時を回っていたからだ。

ダッシュで出発し、やがて京都市に突入。

…はいいが、何だか嫌な道に突入。

頼りないガードレールの先は「崖」。白線はけっこうギリギリ。

そんな道があまりにも果てしなく、気が狂いそうだった。

引き返すこともできない。

ビビりながら抜けて、あとはひたすら町中を
北へ…。

北へ…。

北へ…。

きt…。

着かない。

 

何だか太陽が夕日になりつつある気もしてきた。

今なら遅くない。少し下ったら大阪への道が開ける。

しかし、諦めるワケには行かなかった。

ここで根性曲げたら私は一生負け犬だ。

という自分ルールをこの場で発動。

iPhone3GSも教えてくれた。あと少しだよ って。

(電池の消耗が激しいので、iPhoneは極力封印していた。)

でも拡大縮小の加減で、「あと少し」が結構な距離だったことがその後判明した。

少し迷子になりながらも到着。

f:id:pepico-pepper:20170219000815j:plain

伏見稲荷大社だ。

時間は18時。タイムにして約2時間。走行距離は35km。 

真っすぐで山ほどの坂ではないが、若干の坂道と車道の環境の悪さがネック。

正面のコンビニで一服した後、すぐに出発。ここは本当に写真撮っただけ。

焦る理由は風景にあった。

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鴨川沿いを走行している間にもどんどん日が沈んでいく。

これはマズい。

何故かというと、再びあの地獄の車道を走るはめになりそうだったからだ。

予感は的中した。

頼りないガードレールの先は「崖」。

さらにこの道に出た時、辺りは真っ暗。

頼りになるのは車のライトのみ。

白線はギリギリ。

視界最悪。

疲労感満載。

この生き地獄に結構本気で泣きそうになった。

でも涙を流して視界不良になったらそれこそ命取り。

早々にご先祖様のもとへ行くのはごめんだ。

漕ぐしかなかった。
生きて帰るしかなかった。

 

やがて枚方市の看板が見えた瞬間、私は少し叫んだ。「勝った!」と。

あの恐ろしい道を抜けてからは、もう怖いものなんてなかった。

だからすごいスピード出してたと思うが、相変わらず辺りは暗くて道もちゃんとは見えていない。

そのため、ものすごい段差にも気付かなかった。

私は飛んだ。自転車ごと宙を舞った。

こけずに着地したことは本当に奇跡だったが、恐ろしいことにサドルで股間を強打。

今まで「男の子ってうらやましいな」なんて思っていたが、生まれて初めて女性で良かったと感謝した。それでも痛かった。ガチで痛かった。ちょっとだけうずくまった。

そこからしばらくは道も気にしつつ走行。

大日のイオンに到着してトイレ休憩。

時間は20時。タイムにして約2時間。走行距離は33.4km。

視界の悪さと道の劣悪さが精神的・肉体的苦痛を伴わせる。

何気なくソファーに座ったけど、30分くらいして 「あ、ダメだ。寝る。」と思い急いで退館。

 

最後にひと踏ん張りし、生還ゴール。

時間は21時。タイムにして約30分。走行距離は9.3km。
最後は慣れた道なので精神的に超楽。

 

総走行時間は約7時間。総走行距離は約114km。

中京都を挟んだことで、生駒山を往復せずに済んだのは好事例。

 

この日学んだことは、

  • 車道付近を走る時はサングラス等で目を保護する(めっちゃ充血した)
  • ルートを決める時は高度も見ること
  • 家を早く出ること
  • お金はちゃんと持っていくこと